県外審査員プロフィール

辰巳 明久

 辰巳 明久(タツミ アキヒサ)氏
 京都市立芸術大学教授

企業のマーケティング、ブランディング戦略のアートディレクション、プロデュースを中心に活動し、1997年に
京都市立芸術大学美術学部デザイン科に着任。 コンテンツ配信を中心としたデジタルアーカイブの研究を海外の
研究機関と行う。デザイン教育として、欧米の大学との共同授業、展覧会企画を1999年から継続中。 意匠学会、
日本デザイン学会、日本印刷学会会員、京都市立芸術大学美術学部デザイン科ビジュアルデザイン専攻卒

<主たる研究テーマ> ビジュアルデザイン 蓄積コンテンツ活用研究

< CI・ブランドデザイン>
・1988 花と緑の博覧会(パビリオン)
・1990 輸入車カーディーラー
・1991 アイウェアショップ
・1992 ドライブインチェーン
・1993 電力会社(ショールーム)
・1995 加工食品会社
・1996 運輸・倉庫会社 、自動車関連会社(出店マニュアル、人材育成)
・2003 就職支援会社
・2005 カーディーラーチェーン 、アイウェアショップ、カフェ&セレクトショップ
・2006 ゲーム販売会社
・2007 住宅プロデュース会社、監査法人、
・2008 IT企業

<蓄積コンテンツ活用研究(共同研究・講演・展覧会・諮問委員)>
・1993 インターネットビジネスの現状(阪急電鉄本社主催セミナー:講演)、インターネットの基礎知識(大阪青
年会議所:講演)
・2002~04 CRISATEL PROJECT(フランス国立博物館科学調査修復センター[C2RMF]共同研究:EU本部助成事業)
・2002~06 大容量グローバルネットワーク利用超高精細コンテンツ分散流通技術の研究開発(産官学共同研究:NICT
助成事業)
・2003 「日本におけるデジタルアーカイブの現状」(台湾故宮博物院:講演)
・2003 "Research into the characteristics of coloration due to the paper used for printing ( CRISATEL Review
[ギリシャ]:パネル発表)
・2004 "Marketing Plans, Editing and Design Prowess are the Driving Force Behind Content Distribution"
   (国際博物館と文化資産マルチメディア展示会コンテストフォーラム[台湾故宮博物院]:台湾政府招待講演)
・2004 デジタルアーカイブの現状(芸術のための科学セミナー・京都大学JTS:講演)、ラ・トゥール展マルチ
メディアコーナー(国立西洋美術館)
・2005 デジタルアーカイブの現状(京大ロームフェア・京都大学ローム館:講演)
・2005 京扇のデジタルアーカイブ(CEATEC JAPAN)、2006 京扇のデジタルアーカイブ(CEATEC JAPAN)
・2008 WEB TV企画(学校法人)
・2009 文化発信戦略検討委員会・委員(文化庁)

<グラフィックデザイン>
・1991~92 就職支援雑誌・巻頭特集ページ(編集)
・1994 ギフト用食品(パッケージ)
・1995 ギフト用食品(パッケージ)
・1993 学校法人概要(編集)
・1997 「インターネットの法律実務」(編集) ・1999 「知の方舟」 (編集)、コンビニエンスストア向け食品
(パッケージ)
・2001 「インターネットの法律実務(改訂版) 」(編集)
・2002 ギフト用食品(パッケージ)
・2003 「迷宮のインターネット事件」 (編集)
・2005 「小清水 漸 -木の 石の 水の色-」(編集)、教育関連フリーペーパー(編集)、ギフト用食品(パッケージ)
・2008 壁面緑化サイン(サイン)
・2010 「小清水 漸 -重力/質量/作業-」(編集)

<国際交流共同授業および展覧会企画>
・2000 日仏美術学生による宮沢賢治の世界展(福井) 、日仏美術学生による宮沢賢治の世界展(京都)
・2001 日仏美術学生による宮沢賢治の世界展(花巻)
・2002 日仏美術学生による宮沢賢治の世界展(パリ)
・2004 日仏美術学生による宮沢賢治とラ・フォンテーヌの世界展(ボローニャ)
・2009 日欧米5大学による"Hi,Q!" 展(ボローニャ)、日欧米5大学による"Hi,Q!" 展(京都・京都芸大大学会館)
・2010 日欧米5大学による"Hi,Q!" 展(京都・日本写真印刷本社)、日欧米6大学による"BESTIARIUM MMX" 展(ボローニャ)
・2010 日仏美術学生による進化のものがたり展(京都)
・2011 日欧米5大学による"Fire" 展(ボローニャ)、日欧米5大学による"Hi,Q!" 展(パリ)、日欧米5大学による"Fire" 展(京都・予定)

<著作・掲載>
・1994 アドプロ年鑑
・1995 パッケージデザイン総覧
・1996 パッケージデザイン総覧
・1999 パッケージデザイン総覧
・2000 パッケージデザイン総覧、「知の方舟」(共著)
・2003 故宮文物247号(台湾故宮博物院定期刊行物)
・2005 未来の学校教科書プロジェクト(出版企画)
・2008 建築知識5月号(壁面緑化サイン)、 Ku:nel35号(専攻授業)、各誌(国際交流共同授業および展覧会・京都市連携事業)
・2010 各誌(国際交流共同授業および展覧会・京都市連携事業)

<所属> 日本デザイン学会 、日本印刷学会、日本・紙アカデミー、意匠学会

審査総評

  •  歴史に裏付けられた深い文化を持つ、素晴らしい地である島根県。 その島根県展デザイン部門の審査にのぞむにあたり、どのような作品に出会えるのか、大変楽しみにして松江に参りました。 審査会場で拝見した応募作品は、どの作品も真摯に制作にのぞまれたことが一目で分かる、大変好印象のものばかりでした。
  • どのコンペでもそうですが、テーマ部門というものは、文字通り大きなテーマは決まっていますので、 まず、与えられたテーマに沿った題材を決めることが作品制作の最初の手順となります。 テーマ部門は、そこからが勝負で、いかに独自の視点(コンセプト)を深く掘り下げていけるかが重要なポイントとなります。 今回のテーマ部門の応募作品にはその難しさに果敢に挑戦した作品が数多く見られましたが、 その中でも知事賞に輝いた作品は、グラフィックやコピーの表現手法に多くの工夫が見られ、完成度の高いものでした。
  • デザインの自由部門には、テーマ部門とは別の難しさがあります。それは、自由に設定できる作品のコンセプトが、 見る側にちゃんと伝わるかという難しさです。 今回の自由部門の応募作品には、作者の価値観や心情を伝えるイラストレーションの作品、 そして人間社会にある様々な問題を、ポスターの形式で伝える作品、以上ふたつに大別できました。 イラストレーションの作品は、メッセージを絵に託して伝えるために強いオリジナリティが求められます。金賞の作品は、 ダイナミックで力強い筆致が独特で、言語化しきれない作者のメッセージが伝わってくる魅力的な作品でした。 一方、ポスターの形式による自由部門の応募作品は、写真や手描きのイラスト、そしてパソコンを使った平面表現など、表現が多彩でした。 その中で受賞した作品は、どの作品も作者の伝えたいメッセージが明確であり、 また、そのメッセージを伝えるための表現の完成度が高いものが選ばれました。
  •  今年の県展では、昨年より応募作品が増えたとうかがいましたが、それは、大変喜ばしいことだと思っております。 また、学生作品の受賞もあり、ベテランの活躍に加え、若い力が育って来ていることは頼もしい限りです。 これからの時代、知識や技術に美を加えて統合するデザインの力は、今まで以上に社会の中で重要視されるに違いありません。 素晴らしい歴史と文化を持つ島根県でも、今まで以上にデザインの力が地域の活性化に結びつくことを願っております。
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